歯列矯正は「人間の歯は動く」という事を前提にした治療法です。

人間の歯は健康な状態ならちょっと指で押して見ても簡単に動くものではありませんね。
そもそも私達の歯は硬いものを噛む時に前歯で1c㎡当り約10~20kg、奥歯に至っては60kgもの圧力に耐えますのでそれから考えても歯が動くなどという事は信じられません。
しかし歯は実際に動くのです。
では何故歯は何故動くのでしょうか?
実は歯は顎の骨にしっかりと固定されているのではなく歯槽骨という顎の骨の中に、歯根膜と呼ばれる薄い膜に包まれて差し込まれた様な状態になっているのです。
ちなみに歯を包んでいる歯根膜は例えば小石などを噛んだ時、顎の骨に直接衝撃を与えない様にクッションの役割をしています。
今この歯をある方向から力をかけて引っ張ってやると、引っ張る側の歯根膜は押し潰されますね。
すると押し潰された歯根膜からは骨を溶かす細胞が生成され、この細胞が歯槽骨を溶かして歯根膜に必要なスペースを確保します。
一方引っ張られた側の歯根膜は引き伸ばされますが、その引き伸ばされた側からは骨を作る働きをする細胞が現れ、歯が押された事によって出来た余分な空間を埋めて行きます。
この様な自然な体の働きを繰返しながら歯は徐々に移動して行きますので、歯列矯正にはどうしても一定の時間が必要になります。
この歯に一方への力を掛け続ける機器が歯列矯正で使われる矯正装置ですね。
矯正装置はちょうど脱輪した車をウインチで溝から引き上げるときの様に口の中に固定源(動かない支点)を作り、そこを支えにして歯に力を加えます。
一般的には固定源には大臼歯(奥歯)を利用しますが、大臼歯もやはり他の歯と同じ形で歯根膜に包まれて歯槽骨の中に埋め込まれていますので、あまり大きな力をかけ続けると固定源の奥歯自体が動いてしまいます。
奥歯は真の意味での固定源にはならないわけですね。
そこで最近は新しい歯列矯正の方法としてあらかじめ骨に金属製のインプラントを埋め込み、これを固定源として歯を移動させる治療法が矯正歯科でも行われる様になっています。
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